夜行快速 寝台列車を追う!列車追尾シリーズ「(その②)プルマンは南を目指す!」
2019年12月26日、念願だったタイ国鉄南本線に残る「非冷房旧型寝台車」に乗ることができました。その記録をまとめてご紹介します。(その2)
(その1)↓ https://night-rail935.amebaownd.com/posts/7734481 からの続きです。
題して『夜行快速 寝台列車を追う!
列車追尾シリーズ「プルマンは南を目指す!」
目的地には豪華な?BATH SHOWERが待っていた!』
(少しずつ記事を追加します。しばしお待ちください…)
バンコク中央(ファラポーン)18:30始発
●南本線167レ カンタン支線直通 カンタン行き 非冷房2等寝台
夜通しで走り、タイの南部へ。少しずつ夜が明けてきました。
夜行列車の楽しみの一つが、朝の情景・風景を楽しみながら、移動すること。
私の乗った寝台は非冷房で、窓が全開できるので、ゆっくりと車窓を楽しめます。
↓朝焼けの中、列車は走り続けます。石灰岩?白い山が二つ…。
もうすぐ朝陽が上がりそうです…。
↓ 椰子が笑う…汽車は行く…。大師匠 故宮脇俊三先生も同じ風景をご覧になり、タイトルを考えたのでしょう…。
↓早朝は人間たちよりも動物の方が早起き。
動画では、日本では聞き慣れない動物の朝の挨拶が聞こえます…。
↓腕木式信号機 現役!
腕木式信号機が現役であることから分かるようにタイ国鉄さんの地方部は、単線・非自動制御です。このレトロな印象が良いのですが、しかし、貨物も含めると列車本数に比して、設備が脆弱なことも事実です。ですから遅延が発生してしまいます…。
いつも通り絶好調のタイ国鉄さん、この私の乗った167レは、
90分遅延で運行中です。
私は遅延してくれた方が、少しでも長い区間の車窓を楽しめますので、嬉しい?のですが…。
早朝下車される方は、客室係さんが声掛けされたりしていますが、確実ではないので、途中下車される方は注意が必要でしょう…。
タイ南部の観光地の拠点駅「スラタニー」駅に定刻6:23着のところ7:50頃到着。
多くの乗客が下車しました。
大きな駅なので、ホーム上を数名の売り子さんが、飲食物を販売されています。
私も朝ごはんを買いました。列車を降りなくても、自分のベットの全開の窓から購入できるので、非冷房寝台車の方が便利?です。
↓白いご飯が好きな私は、肉、煮卵、厚揚げ ぶっかけ弁当を…。
この弁当、なんと!八角などの中華香辛料が効いた味。タイ風の味わいと異なります。
もっと言えば、私の大好きな台湾弁当の味。美味しい!まさかタイ南部で台湾の味を食すとは思いませんでした。
↓台湾の弁当の味わい・風味に関する私のブログ記事…。
↓肉まんも購入。この肉まんも本格中華の味わいで、美味しい!
↓朝食も頂いたし、食後のコーヒーが飲みたいなあ~…と思っていたら、
車販のお姉さんが売りに来てくれました。インスタントですが、車窓を満喫しながらの
モーニングコーヒー!美味しかったです。ありがとう!
↓この167レの種別は「快速」ですから、大きな駅ばかりではなく、小さな駅にも丹念に停車して進みます。どの駅でも駅員さんがホームで待っていて、出発の合図は手旗信号!
↓駅務室は、少しホームに張り出し、ホームが見渡せます。この場所に信号テコがあり、ここから駅構内の地面をワイヤーが張り、ポイントや腕木式信号機を操作しています。私が幼少期1980年代までは、日本でも地方の駅では、ごく普通の光景でした…。懐かしい。
↓小さな駅では、列車全体がホームにかかりません。日本なら車内放送で案内され、「ドアカット」とか行いますが、タイでは「マイペンライ…」(気にしない…)。ドアは手動ですし…。
↓この167レは荷物車を連結し、各駅で、荷物を下ろしていきます。下ろすというか、置いていく?この後、手押しリアカーで駅員さんが取りに来ます…。こんな光景も昭和の時代の日本と同じです。
↓ ベットに沿って、大きな窓があり、全開して車窓を楽しめる非冷房のプルマン式寝台車、良いですね~。世界中にまだあるのかな?他国では、治安の問題からも、窓に鎧戸や棒を設ける例が多いと思います。超貴重なのでは?なおタイでも夜間に客室係の方が寝台を作る時には、窓には可動式の日除け鎧戸を下ろします…。
↓朝を迎え、客室係さんの手で、順次寝台が片付けられていきます。この169レ、カンタン支線に直通するのですが、さすがにローカル支線直通だと、本線の大きな駅で多くの乗客が降車してしまい、お客さんは少ないですね…。
↑ 放牧の牛さんと担当?の鷺さん。牛1頭に1羽の鷺という組み合わせをたくさん見ました。牛に来る虫を取るため?
↓ タイの首都バンコクから南へ770㎞、夜行快速列車は一晩かけて南本線のトゥソン分岐駅に到着します。この駅は機関区のある鉄道の要衝。
この駅から南本線と別れ、カンタン支線へ入ります。
↓ 広い構内のトゥソン分岐駅。ここで約10分間の停車時間が設けられ、客扱いを行うホームの反対側では各客車に給水作業が行われます。
↓ この日のこの快速168レは、この時点で約60分強の遅延。運行関係者は急いだのか?給水作業の完了を待たずに列車を発車させてしまいました…! _| ̄|○
トゥソン駅のホーム上の売り子さんから買い求めた粽(チマキ)の一種?
予想通り、ココナッツミルクで炊いたモチ米で甘い!
朝のオヤツに頂きました。
↓列車はさらに南下して進みます。陽が昇り、暑くなってきました…。
右側の爽やかな黄緑色の木は、植林されたゴムの木です。
エアコンの無い車内で、暑いな~と耐えていたら、思い出しました! この車両 B.N.S.1000型寝台車には、超豪華な!シャワールームがあることを…。
他の車両ではこのスペースにお手洗いが併設されていたりして、トイレでシャワー…という微妙な雰囲気なのですが、私が乗ったB.N.S.1026は、シャワー専用室となっていて、装飾はシンプルそのものですが、まあ清潔! これなら気持ち良く、シャワーを浴びることができそうです。
↑ まあシャワーといっても、シャワーへッドは壊れてどこか消えたようで、水が出るだけの管というイメージですが、暑い車内で、水シャワーはとても気持ち良い! 休日の朝の爽やかなシャワータイムを満喫!!しました。私にとっては(気持ち的に)超豪華なシャワールームでした!
↓ 列車はバンコクから南へ845㎞を走り、最後の途中停車駅「トラン」に到着しました。隣りの側線には、このカンタン行き 夜行快速167レと姉妹列車とも言える、バンコク始発トラン終点の 夜行急行83レが先に到着していました。どちらの列車も、また今夜、バンコクへ折返しで夜間運行されます。夜行列車天国の南本線らしい一コマです。なおこの夜行急行83レには元日本国鉄~JRの12系客車も1両連結されています。タイ国鉄オリジナル車両より一回り車体が大きいので目立ちますね!
さて周囲のお客さんも少なくなり、ついに「トラン駅」では、寝台車の乗客が、私一人貸切に…。客室係の車掌さんも後部のエアコン寝台車で休息を取られているようでおられません。
私は過去に以下の路線で、自分の乗っている車両が貸切(他に乗客が皆無)になった経験があります。(車両形式から、私も齢を重ねオッサンになったな…と思います)
・台湾 南廻線 夜間の枋寮駅 日本製 旧型客車
・台湾 花東線 玉里駅 日本製旧型特急気動車 DR2700
・中国 山陰本線 特牛(こっとい) 50系客車
・九州 筑豊本線 冷水峠 50系客車
・九州 日田彦山線 大行司 キハ66+67
・九州 吉都線 スハ43系 旧客レ
・九州 日南線 串間 キハユニ26
・四国 土讃線 大歩危 50系客車
・四国 土讃線 土佐久礼 キハ20
(※高松深夜始発のキハ58夜行の中村行、高知で増結したキハ20
日曜だったのでガラガラでした。懐かしい四国の夜行ダイヤですね…)
↓ ついに貸切状態となった旧型寝台車の車内!
さてここから終点カンタンまでの1駅の区間は、なんと!1日1本(このバンコクからの直通快速夜行)しか旅客列車の走らない閑散区間。ここをラストスパート! 終点カンタンへは小さな峠を越えて、あと21㎞です。この区間45分の所要時間が取ってあり、表定速度は30km/h 弱。最後はダイヤに余裕を持たせて回復できるように工夫されているのかな? 現時点、この夜行快速167レは、約60分程度の遅延です。線路状況も少し悪くなり、揺れが激しくなります。
↑ バンコクから南へ866㎞を走破し、終点、カンタンへ約45分遅延で到着。側線には貨物列車が出発を待っていました。
↓ カンタン駅の駅舎は1913年の鉄道開通当時の木造駅舎。カラシ色に塗られ、独特の雰囲気。駅舎内には、鉄道関連の展示コーナーもあります。
↓ 行き止まり駅のカンタン駅構内 終端部には蒸機時代からと思われる給水塔が・・・。
↑ カンタン駅構内図。構内から直接、海は見えませんが、港町なのだそうで、右下に延びる線は貨物線かな…
↓ ホーム
↑ 少し観光地化されているようで…50歳の汽車キチガイのオッサン(私)には、LOVEは別にして、陽射しが暑い! 観光客用のエアコンの効いた喫茶店が駅舎の隣にありましたので、ここに逃げ込みました・・・。この喫茶店で寛いだことで、気が緩み、駅の北側に廃車展示してある元日本国鉄・JRのキハ58を見学するのを、すっかり忘れてしまいました・・・。
↓ 駅の雰囲気・展示コーナーの様子や、荷物車を含む複雑な入れ換え(機回し)作業を動画でご笑覧下さい。
↓ さて、このカンタン駅には1日1本しか旅客列車はありません。私は同じ列車で折返します。しかし、事前にタイ国鉄さんの公式HPで入手していた時刻表の出発時刻12:40近くになっても発車する気配がありません?あれ?? 駅に掲げられた時刻表を見ると、あら!真新しいペンキで「13:25」に書き換えられていました。このような例はたまに散見されると作家の下川祐治氏も書いておられました。タイ国鉄の公式HPでも、英語版とタイ語版の時刻案内が異なったりするそうで・・・。_| ̄|○ (マイペンライ! 細かい事は気にしない…)
↓ この時刻表の意味は?
左から 167列車 バンコク1830発 カンタン1120着
168列車 カンタン1325発 バンコク0535着
↓ 出発前にタブレットを持ち、ホームに現れた駅員さんは小学生の子供さん??どうやら駅長さんのご親族ではないかなと思われます。小荷物の運搬もお手伝いしていました。私が「あなたは偉いね。ありがとう」と声かけたらとても喜んでくれ、列車の出発時には手を振り合いました…。
折返し 快速夜行168レ バンコク行き(翌朝5:35到着予定)、私は南本線との分岐駅トゥソンまでの乗車ですので、今度は寝台車ではなく3等座席車で過ごします。延命工事の行われたキレイな客車で寛ぎました。
昼食は昨夜、夜食用に購入していたコンビニ(セブン-イレブン)のお弁当。車窓を楽しみながらの弁当は美味しい!
↓ 旧型客車の最後部は開放的!
♪~思えば、遠くへ来たもんだ~♪
さて、トゥソン分岐駅まで戻ってきました。これでカンタン支線を往復したことになります。トゥソン分岐駅は機関区もある鉄道の要衝。駅構内を見下ろす信号所の建物も大きい。
↓ この信号所の前でも行われるタブレット交換、懐かしい昭和世代の鉄道の雰囲気が・・・。
↓ ホームには鉄道員さん手作り?の走る??ベンチが・・・。
↓ 昔、使用されていたと思われる 黒板式時刻表。遅延時間を書き込んでいたのでしょう…。
↓ タイ国鉄では2020年の今でも小荷物輸送が盛ん。駅の小荷物受付窓口には大きな秤(はかり)が現役! これも日本の昭和の地方駅には必ずあったアイテムですね! 懐。
↓ これも鉄道員さんの手作りかな?ホーム上にある携帯の充電コーナー。トゥソン駅は気が利くなあ! 他の地方駅では見かけませんでしたので、珍しいサービスと思います。
こんな雰囲気のトゥソン分岐駅、良い駅ですね。駅舎も大きい!
↓ 首都バンコクへの優等列車だけでなく、タイ南部のみ運行する(南部封じ込め運用の)各停鈍行列車も入線してきました。見事に日本製の超旧型客車ばかりで編成された味のある列車でした!
【運行概要】タイ国鉄 南本線 各停(鈍行)列車 448レ
タイ最南端 スンガイコーロック630始発⇒スラタニ―行き(1755着予定)
【列車編成】
●牽引機関車 4221 AHK型 ドイツ1980年製
●B.T.C.232 1953年 近畿車輛or日本車輛or川崎車輛 製造
●B.F.V.70 1950年代の日本製 荷物車
●B.T.C.259 1954年 宇都宮車輌 製造
●B.T.C.114 1949年 汽車會社or近畿車輛or日立製作所 製造
●B.T.C.245 1954年 宇都宮車輌 製造
●B.T.C.146 1949年 汽車會社or近畿車輛or日立製作所 製造
日本ではるか昔に製造され、タイ南部で頑張る客車たち お疲れ様です!
↓ さてさて、夕食時です。さすがにタイ南部の田舎駅では、ネットで紹介されるような観光客向けのレストランはなく、グーグル先生が英語で教えてくれた駅前のキレイなレストランに入りました。
↓ レストランの入り口のモニュメント うん?趣味は鉄オッサンと同じかい?
CHAN CHA LAという名前のレストランですね。
日本語だとチャンチャラ!なんだか楽しげな名前です。
↓ 注文はグーグル先生のこのレストランの料理写真から「これ下さい」とジェスチャーのみで注文できました。グーグル先生、ありがとう!
鉄オッサン(私)は、アルコール燃料があれば、本格的な飯は要らないので、鶏肉とニンニクのサラダをツマミにビールを頂きました。
暑いので冷たいサラダと冷たいビールが最高!
冷たいキューリも美味しい!
夕食も終わり、今夜もタイ国鉄さんの夜行列車に乗ります! 二晩連続ですが、大好きな日本製の旧型寝台車での夜行鉄旅♪ 辛くはありません。むしろ喜び♪です。
一般の方なら二泊連続で旧型のエアコン無しの寝台車なんて…と思われるでしょうが、鉄オッサン好きですから、ワクワク…。でもお風呂に入りたいなあ~。
トゥソン駅のホームには、なんとステキなご案内が!
うん?「BATH ROOM」ですと!タイ国鉄さん直営の銭湯かな?
恐る恐る中に入ると・・・トイレの奥に 謎の部屋が・・・??
この後の詳細は ↓ コチラのページで!
この日の夜の夜行列車の乗車記、翌日のバンコク散歩の記録は ↓ コチラのページで!
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