夜行快速 寝台列車を追う!列車追尾シリーズ「(その①)プルマンは南を目指す!」

2019年12月26日、念願だったタイ国鉄南本線に残る「非冷房旧型寝台車」に乗ることができました。その記録をまとめてご紹介します。

題して『夜行快速 寝台列車を追う!列車追尾シリーズ「プルマンは南を目指す!」目的地には豪華な?BATH SHOWERが待っていた!



●乗車した車両の紹介はコチラ↓

タイへの旅行計画中、ネットで未だに非冷房で窓の開く旧型寝台車の写真が掲載されていました。「えっ?寝台車両なのに、窓が開いている!」どうやら旧型の非冷房(空調のない)寝台車両。2019年、未だにこんな懐かしい車両が現役なのか!

これは調べてみるとタイ国鉄の旧型の2等寝台車両。窓を開け、レールのジョイント音を子守歌に、寝台で寛ぐなんて贅沢が、2019年の今でも可能なのか!と嬉しくなりました。

私は幼少期から非冷房の国鉄車両に慣れ親しみ、窓を開け放ち、レールのジョイント音や車窓を楽しむのが、大好きなのです。

(約20年前 2000年頃、私が勤務の都合で関東に在住していた頃は、夏になると非冷房の国鉄車両を求めて、18切符で、只見線・五能線(キハ40系)や山田線・岩泉線(キハ52)に乗り歩いていました…)

これらのタイの非冷房 寝台車両が少しずつ引退している…ことも分かってきました。これに是非とも乗りに行きたい。

なんとか休みを取り2019年末にLCCタイライオンエアでバンコクへ飛びました。年末のフライトでも片道16,000円! ありがたい。

タイ南部を運行する旧型客車の非冷房の寝台列車に乗りに行くことは決めましたが、さ~て、どのダイヤに乗ろうか?


昔、私の地元、鹿児島県の旅行 誘客キャンペーンで用いられたキャッチフレーズが「列島南下! 気分上昇!」でした。タイ国鉄南本線でも最南端、マレーシアへのルートがあります。せっかくなら最南端まで行こうかと思いました。

しかし、日本外務省の情報では、タイ最南部は治安が悪く、注意喚起情報が発令されています。「安全+第一! 鉄オッサン 危うきに近寄らず」で、あまり最南への行程は避けました。

元々、何か目的地があって行く旅行ではありません。タイ国鉄に残る旧型の非冷房の寝台列車に乗りたい! それだけが目的の旅。

「なんにも用事がないけれど、汽車に乗って大阪へ行って来ようと思う」の書き出しで始まる「阿房列車」シリーズ。 私たち乗り鉄の始祖と言える随筆家であり小説家である「内田百閒(ひゃっけん)先生」。師は、鉄道に乗ることを目的として鉄道旅行を行うことを好んだそうです。同じ志で、私も不遜で申し訳ないですが「なんにも用事がないけれど、泰国まで飛んで、古い寝台列車に乗って、泰南部へ行って来ようと思い…」別の方のブログ記事で、「トゥソン分岐駅」が機関区のある鉄道の拠点駅であり、長距離列車は給水のためしばらく停車すること、ここから分岐するカンタン支線の終点、カンタン駅の駅舎が1913年開業時からの味のある古い木造駅舎であること、このカンタン駅まで運行する列車は1日1本のみで、これがバンコクから長駆850㎞を直通する快速夜行列車であることから行先は、このトゥソン・カンタン方面と決めて以下の行程で乗車しました。


【2019年12月26日-28日】

バンコク中央(ファラポーン)18:30始発

●南本線167レ カンタン支線直通 カンタン行き 非冷房2等寝台

カンタン 翌11:20着

(カンタン駅 展示コーナー等 見学)

カンタン 12:40始発

●南本線168レ バンコク中央行き

トゥソン分岐駅 15:07着

(駅構内で休憩撮影・食事・燃料補給…)

トゥソン分岐駅 18:13発

●南本線170レ バンコク中央行き

バンコク中央(ファラポーン)翌9:00到着



↓まず、夜行列車に乗る前の儀式…アルコール燃料補給を…。

↓タイ国鉄さんには改札はありません。自由にホームに入れます。改札は車内で車掌氏が行います。ネット予約してプリントアウトした寝台乗車券を手にして、出発ホームへ!

行くぞ!南本線!1日1本のみ運行のカンタン支線直通!カンタン行き 快速夜行!

 初めての乗車で、期待が高まります。



↓バンコク中央(ファラポーン)駅構内に入ると、ちょうど国家斉唱の時間(18時)

私も駅構内の国王の肖像に向かい起立、敬礼しました。

↓駅構内には、10バーツ(約35円)で水シャワーがあります。

夜行列車乗車前には、汗を流して、サッパリと…。

※しかしファラポーン駅は100年以上前の開業で、施設系のトラブルが多いようで、

このシャワーもよく故障しています。ご注意を…。

↓列車の先頭には牽引する機関車。機関士さんが前面ガラスを清掃中。

今日の牽引機はALS型ですね。フランス製です。

今晩、よろしくお願いしますね!

↓ホームには今夜の各路線の寝台列車で使用するクリーニング上がりのキレイなシーツがたくさん…。タイ国鉄さんいつも快適な寝台を提供して頂き、ありがとう!

↓ファラポーン駅は頭端式のホームです。(この貨車は模型鉄道のアクセサリーっぽい…)

以前のJR上野駅のように、客車列車の場合、この動画のように推進回送で入線してきます。




↓だがしかし、私の乗る列車はギリギリまで詰め込み過ぎでは?大丈夫ですか?

↓さて、私の乗車するクラスは「2等ファン式(非冷房)寝台車」。プルマン式ですね。令和の時代に、日本製で非冷房の10系客車似の現役の寝台車に乗れるのは、感激!嬉しいです。

車販のオジちゃんが美味しそうな弁当を売っていたので、つい夜食に購入。定番の目玉焼き載せガパオライス(ひき肉炒めご飯)ですね。

そうこうしているうちに列車は定刻1830出発!心地良い夜風が入ります。

タイ国鉄さんは遅延が多いですが、始発時点では定刻の場合が多いようです。

無事に乗車できました。いよいよ旧型客車の快速夜行の旅が始まります。

↓タイ国鉄さんの旧型車では、ほぼ車内放送はありません。日本の国鉄ファンとしては、オルゴールチャイムと夜行列車らしい途中停車駅案内の放送が聴きたくなります。この動画の最後で、自分の声で停車駅案内を録音してみました。御耳障りの方はカットされて下さい。

↓実は、列車に乗る前に一つ不安なことがありました。同じダイヤの同じ列車を別の機会に撮影したのですが、その際は、本来「2等非冷房寝台車」が連結されているところ、乗客が少なく?減車されていたのです。ん?早めに予約した乗客の対応はどうなるのでしょうか?エアコン付き寝台車は等級(クラス)が上がり、約700円ほどお値段が高いのです…。お金が問題ではなく…、私は非冷房で窓を全開にして車窓を楽しみたいので、エアコン寝台車は困るのです…。今回2019年12月26日の169レは、きちんと非冷房寝台車BNS1000型を連結していました。ホッ。

↓タイ国鉄の夜行列車では、出発後、客室係さんが寝台を作って下さいます。この客室係さんお若いのに非常に親切・丁寧な方で、快適な夜を過ごすことができました。コップンカップ!ありがとう!

↓途中、車内販売では南本線の名物「焼きプリン」の「カノムモーゲン」を買い求めました。素朴な甘さで美味しいです。こんなパッケージだったんですね。カワイイです。

↓今回、私の寝台の上段のお客さんは、若い韓国の大学生君。

それも途中22時到着のホアヒンまでの乗車で、タイ鉄道は初めてとのこと。

彼にとっては寝台は要らない訳ですが、なぜか、当日、乗車前に窓口で購入したら、寝台車の席になったようで…。(座席車が満席だったのかも…)

私(鉄オッサン)が「これは寝台車でベットになること、遅延するかもしれないし、放送案内は無いからご注意を…」と助言したら、心配そうな表情に…。しかし優しい鉄オッサンが「私はホアヒンぐらいまでなら起きているから、ホアヒンで教えてあげるよ!」と申し上げたら、とても喜び…「上の寝台に行ってしまうと、寝てしまいそうだから、下段で私と一緒に車窓を見ても良いか?」と言われ、とても礼儀正しい好青年でしたので、鉄オッサン快諾! 二人で一緒に下段の私の寝台でお話ししながら楽しみました。

こんな寝台車での出会いも貴重な経験ですね!

絶好調のタイ国鉄さん、もちろん?しっかり遅延してホアヒンには60分遅延で23時過ぎの到着でした…。

食べ物の話ばかりで恐縮ですが…、

途中のラッチャブリー駅では「名物パッタイ」を客車のデッキで、ホームの売り子さんから買い求めました。米粉で出来た麺にさつま揚げ入りで美味しい!

ホームの売り子さんから名物を買う、こんな光景も今や、日本では懐かしい。

もちろん鉄オッサン2つ買い求め、同じベットで仲良く過ごす韓国の大学生君にもプレゼント。彼も非常に喜んで食べてくれました。

ホアヒン駅を出発し、深夜の南本線をタイ南部へ向かいます…。

↓ この列車の種別は特急でも急行でもない、「快速」。深夜の小駅にも丹念に停車して、ゆっくりゆっくりと歩みを進めます…。

↑深夜の寝台車…夜の空気が支配しています…。

この続きは(その2)へ…。

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